片頭痛は心・脳血管疾患発症のリスク上昇と関連
女性の片頭痛患者では心・脳血管疾患(CCD)の発症リスクが高まる可能性のあることが、「Journal of Clinical Neurology」5月号に掲載された論文において明らかにされた。
片頭痛は一部のCCDと関連することが知られており、特に若年女性や前兆のある片頭痛患者でその傾向が強いとされている。また、片頭痛が一般に思春期以降に発症するのに対し、CCDの多くが高齢者で発症することから、この隔たりが両者の関係性の評価を難しくしており、片頭痛の診断からCCDの発症まで長期間にわたる研究が望まれていた。
そこで、順天郷大学校富川病院(韓国)のSeung-Jae Lee氏らは、2002~2018年の韓国国民健康保険公団(KNHIS)の医療データベースを用いて、2003年1月1日~2004年12月31日に片頭痛と診断された患者13万50人(片頭痛群;20~49歳、女性71.4%)と傾向スコアでマッチさせた片頭痛のない13万50人(対照群;20~49歳、女性70.8%)を対象に、CCD(末梢動脈疾患、虚血性心疾患、心房細動/粗動、虚血性脳卒中、出血性脳卒中)の発症率を長期的に検討した。片頭痛群はさらに、前兆のある片頭痛(9万9,751人)、前兆のない片頭痛(1万9,562人)、その他の片頭痛(1万737人)で分類した。カプランマイヤー法でCCDの累積発症率をプロットし、片頭痛群と対照群でログランク検定を行った。また、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、片頭痛群における各CCDの調整ハザード比(aHR)および95%信頼区間(CI)を算出した。
追跡期間の中央値は、片頭痛群で14.8年(四分位範囲13.7〜15.9)、対照群で15.7年(同14.8〜16.5)であった。全てのCCDにおいて、対照群よりも片頭痛群で累積発症率が高いことが示された(P<0.001)。前兆の有無に関係なく、片頭痛は末梢動脈疾患(aHR 2.29、95%CI 2.06~2.53)、虚血性心疾患(同2.17、2.12~2.23)、心房細動/粗動(同1.84、1.70~1.99)、虚血性脳卒中(同2.91、2.67~3.16)、出血性脳卒中(同2.46、2.23~2.71)と関連していた(いずれもP<0.001)。全てのCCDにおいて、男性よりも女性でaHRが高かった。
著者らは、「今回の研究では、CCDの累積発症率の群間差は経時的に大きくなることが示された。このことは、若年期では医学的問題として軽微かもしれない片頭痛が、中年期以降ではCCD発症リスクのマーカーになり得ることを意味している」と述べている。(HealthDay News 2022年7月5日)
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